不良品の原因分析手法を解説。なぜなぜ分析、特性要因図、パレート図を使った不良品分析の進め方と、再発防止策の立て方を紹介します。
品質不良が発生した際に重要なのは、根本原因を特定し、再発を防止することです。 表面的な対策だけでは同じ不良が繰り返し発生し、コストと信頼の両面で損失が拡大します。
本記事では、品質不良の原因分析に使える代表的な手法と、 分析から対策立案までの進め方を解説します。
1. なぜなぜ分析
「なぜ?」を5回繰り返すことで、問題の根本原因にたどり着く手法です。 トヨタ生産方式で広く知られています。
進め方
- 発生した不良の事実を正確に記述する(「製品Aの寸法が規格外だった」)
- 「なぜ寸法が規格外になったか?」→「切削工具の摩耗が進んでいた」
- 「なぜ工具の摩耗が進んでいたか?」→「工具交換の基準が設定されていなかった」
- 「なぜ基準が設定されていなかったか?」→「工具管理のルールが文書化されていなかった」
- 「なぜ文書化されていなかったか?」→「工具管理の責任者が明確でなかった」
このように掘り下げることで、「工具管理の責任者と交換基準を設定する」という根本的な対策を導き出せます。
注意点
- 「人のせい」で終わらせない。人のミスの背景にある仕組みの問題を探る
- 推測ではなく、事実に基づいて各「なぜ」に答える
- 必ずしも5回にこだわらない。根本原因にたどり着いたら止める
2. 特性要因図(フィッシュボーン図)
不良の原因を「人(Man)」「機械(Machine)」「材料(Material)」「方法(Method)」の 4M(+環境:Milieu)に分類して整理する手法です。魚の骨の形をしたダイアグラムで可視化します。
進め方
- 右端に「不良の内容(結果)」を記入
- 大骨として4M+環境のカテゴリを設定
- 各カテゴリに考えられる原因を中骨・小骨として書き出す
- チームで議論し、最も可能性の高い原因を絞り込む
- 絞り込んだ原因をデータで検証する
特性要因図の強みは、原因を漏れなく洗い出せることです。 一人で考えるよりも、現場の担当者を集めてブレインストーミング形式で行うと効果的です。
3. FTA(故障の木解析)
FTA(Fault Tree Analysis)は、不良や故障を頂上事象(トップイベント)として設定し、 その原因をツリー構造で論理的に分解する手法です。
- AND条件:複数の原因がすべて揃ったときに不良が発生する
- OR条件:いずれかの原因があれば不良が発生する
FTAは原因の論理的な関係性を明確にできるのが特徴です。 複雑な不良メカニズムの分析や、安全性に関わる重大な不良の分析に適しています。
4. 原因分析から対策までの流れ
- 現象の確認:不良の内容を正確に記録する。 いつ・どこで・どの製品で・どんな不良が・何個発生したか
- 暫定対策:被害の拡大を防ぐために、出荷停止や選別作業などの 即座の対策を実施する
- 原因分析:なぜなぜ分析や特性要因図を使って根本原因を特定する
- 恒久対策の立案:根本原因を除去する対策を計画する。 作業手順の変更、設備の改修、検査基準の追加など
- 対策の実施と効果確認:対策を実施し、同じ不良が再発しないことを データで確認する
- 標準化・水平展開:有効だった対策を作業標準書に反映し、 類似工程にも展開する
5. 分析を成功させるポイント
- 現場・現物・現実の三現主義:デスクで推測するのではなく、実際の現場で現物を確認する
- データで裏付ける:推測だけで原因を断定せず、測定データや記録で検証する
- チームで取り組む:製造・品質・設計など複数の視点で原因を検討する
- 記録を残す:分析プロセスと結論を文書化し、次回の分析に活かす
まとめ
品質不良の原因分析は、なぜなぜ分析・特性要因図・FTAなどの手法を使い分けて行います。 重要なのは、人のミスで片付けず、仕組みの問題として根本原因を特定することです。 分析結果と対策をチェックシートとして記録・電子化しておけば、再発防止の知見が蓄積され、 組織全体の品質向上につながります。
