
会社定款の書き方を徹底解説。絶対的記載事項5項目、相対的記載事項、株式会社・合同会社のテンプレート、電子定款のメリット、公証人の認証手続き、よくあるミスまで、法人設立に必要な定款作成の実践ガイドです。
「会社を設立するのに定款が必要と聞いたが、何を書けばいいかわからない」「テンプレートをそのまま使って大丈夫?」「電子定款にすれば印紙代4万円が不要と聞いたが本当?」——会社定款は法人設立の土台となる最重要書類です。記載内容に不備があると公証人の認証が受けられず、設立スケジュールが大幅に遅れるリスクがあります。この記事では、株式会社・合同会社の定款の書き方を、必須記載事項から任意的記載事項、電子定款のメリット、よくあるミスまで実務で使える完全ガイドとしてお届けします。
会社定款とは?役割と法的位置づけ
定款(ていかん)は、会社の基本的なルールを定めた文書で、「会社の憲法」とも呼ばれます。会社法第26条により、株式会社の設立時には必ず定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。合同会社の場合は公証人の認証は不要ですが、定款の作成自体は必須です。
定款に記載する内容は大きく3つのカテゴリに分かれます。絶対的記載事項(記載がなければ定款全体が無効)、相対的記載事項(定款に記載しないとその効力が認められない事項)、任意的記載事項(記載は自由だが、記載すれば会社を拘束する事項)です。
📋 定款の3つの記載事項
- • 絶対的記載事項:商号、事業目的、本店所在地、設立時の出資額、発起人の氏名・住所
- • 相対的記載事項:株式の譲渡制限、取締役会の設置、監査役の設置、株主総会の招集通知期間短縮など
- • 任意的記載事項:事業年度、役員の員数、株主総会の議長、配当の基準日など
絶対的記載事項(必ず書くべき5項目)
1. 商号(会社名)
株式会社の場合は「株式会社○○」または「○○株式会社」の形式で記載します。商号には使用できる文字にルールがあり、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字・小文字)・アラビア数字、および「&」「'」「,」「-」「.」「・」の6つの符号が使えます。既存の会社と同一商号・同一本店所在地は登記できないため、事前に法務局のオンライン登記情報検索サービスで確認しましょう。
2. 事業目的
会社が行う事業の内容を具体的に列挙します。将来的に行う可能性のある事業も含めて広めに設定するのがポイントです。事業目的は明確性・適法性・営利性の3要件を満たす必要があります。例えば「飲食店の経営」「WEBサイトの企画・制作・運営」「経営コンサルティング業」などのように、第三者が見て内容を理解できる表現にしましょう。最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」という包括条項を入れるのが一般的です。
3. 本店所在地
定款には最小行政区画(市区町村)まで記載すれば足ります。例えば「東京都千代田区」と記載し、具体的な番地は登記申請時に別途指定する方法が一般的です。こうすると、同じ市区町村内での移転であれば定款変更が不要になるメリットがあります。
4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
資本金の額を記載します。2006年の会社法改正以降、最低資本金制度は撤廃されており、1円からの設立が法的には可能です。ただし実務上は、取引先の信用度や融資審査を考慮して100万〜1,000万円程度で設定するケースが多いです。なお、資本金1,000万円以上で設立すると初年度から消費税の課税事業者となるため、税務面での検討も必要です。
5. 発起人の氏名または名称および住所
会社の設立者(発起人)全員の氏名と住所を記載します。法人が発起人となる場合は法人名と本店所在地を記載します。発起人は最低1名以上必要で、設立時に1株以上を引き受ける義務があります。
相対的記載事項と任意的記載事項
主な相対的記載事項
相対的記載事項は、定款に記載しなければその効力が認められない事項です。中小企業で特に重要なものは以下の通りです。
- • 株式の譲渡制限:株式の譲渡に取締役会(または株主総会)の承認を要する旨の規定。中小企業では必須といえる条項で、望まない第三者への株式流出を防ぎます。
- • 取締役の任期伸長:非公開会社(全株式に譲渡制限あり)の場合、取締役の任期を最大10年まで伸長できます。役員変更登記の手間とコストを削減できます。
- • 取締役会・監査役の設置:取締役会を設置する場合は、取締役3名以上と監査役(または会計参与)が必要になります。
- • 現物出資:金銭以外の財産(不動産、車両、知的財産権など)を出資する場合は、定款に記載が必要です。
- • 株主総会の招集通知期間の短縮:非公開会社では、書面投票・電子投票を行わない場合に1週間前まで短縮可能です。
主な任意的記載事項
任意的記載事項は定款に記載しなくても有効ですが、記載することで社内ルールとしての拘束力を持ちます。
- • 事業年度:「毎年4月1日から翌年3月31日まで」のように定めます。決算月は自由に選べますが、繁忙期を避けるのがポイントです。
- • 取締役・監査役の員数:「取締役は3名以内とする」のように上限を設定できます。
- • 定時株主総会の開催時期:「毎事業年度末日の翌日から3か月以内に開催する」のように規定します。
- • 配当の基準日:「毎年3月31日の最終の株主名簿に記載された株主に配当する」など。
- • 株券の不発行:2006年以降、株券不発行がデフォルトですが、明示的に記載するケースもあります。
定款テンプレート(株式会社・合同会社)
株式会社の定款テンプレート
○○株式会社 定款
第1章 総則
第1条(商号) 当会社は、○○株式会社と称する。
第2条(目的) 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1. ○○の製造および販売
2. ○○に関するコンサルティング業
3. インターネットを利用した各種情報提供サービス
4. 前各号に附帯関連する一切の事業
第3条(本店の所在地) 当会社は、本店を東京都○○区に置く。
第4条(公告方法) 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
第2章 株式
第5条(発行可能株式総数) 当会社の発行可能株式総数は、○○○株とする。
第6条(株式の譲渡制限) 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、株主総会の承認を受けなければならない。
第7条(株券の不発行) 当会社は、株式に係る株券を発行しない。
第3章 株主総会
第8条(招集) 定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し、臨時株主総会は必要あるときに随時招集する。
第9条(議長) 株主総会の議長は、代表取締役がこれに当たる。
第4章 取締役
第10条(取締役の員数) 当会社の取締役は、○名以内とする。
第11条(取締役の選任) 取締役は、株主総会の決議によって選任する。
第12条(取締役の任期) 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
第13条(代表取締役) 当会社に取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選により代表取締役1名を定める。
第5章 計算
第14条(事業年度) 当会社の事業年度は、毎年○月○日から翌年○月○日までとする。
附則
第15条(設立に際して出資される財産の価額) 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金○○万円とする。
第16条(最初の事業年度) 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和○年○月○日までとする。
第17条(発起人の氏名及び住所)
○○○○ 東京都○○区○○町○丁目○番○号
以上、○○株式会社設立のため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。
令和○年○月○日
発起人 ○○○○ ㊞
合同会社の定款テンプレート
合同会社の定款は株式会社と比べてシンプルです。主な違いは以下の通りです。
- • 公証人の認証が不要:認証手数料(3万〜5万円)が節約できます。
- • 「社員」という表記:出資者のことを「社員」と呼び、社員が経営を行います(所有と経営の一致)。
- • 利益配分の自由度:出資比率に関係なく、定款で利益配分の割合を自由に設定できます。
- • 株式に関する規定が不要:発行可能株式総数、株式譲渡制限などの条項は不要です。
電子定款のメリットと作成方法
電子定款のメリット
電子定款とは、紙ではなくPDFファイルで作成し、電子署名を付与した定款です。最大のメリットは収入印紙代4万円が不要になることです。紙の定款には印紙税法により4万円の収入印紙を貼付する義務がありますが、電子文書は印紙税の課税対象外となります。
💰 紙定款 vs 電子定款のコスト比較
- • 紙定款:収入印紙4万円 + 公証人認証手数料3〜5万円 = 7〜9万円
- • 電子定款(自分で作成):電子証明書取得費 + Adobe Acrobat等 + 認証手数料3〜5万円 = 5〜7万円
- • 電子定款(代行サービス利用):代行手数料5千〜1万円 + 認証手数料3〜5万円 = 3.5〜6万円
電子定款の作成手順
電子定款を自分で作成する場合の手順は以下の通りです。
- マイナンバーカードを取得(電子証明書として使用)
- ICカードリーダーを用意(対応リーダーは法務省HPで確認)
- 定款をWord等で作成し、PDF化
- PDF署名プラグインで電子署名を付与(Adobe Acrobat Pro等)
- 法務省の「登記・供託オンライン申請システム」から認証嘱託
- 公証役場でオンライン認証を受ける
なお、電子署名の環境構築に手間がかかるため、行政書士や電子定款代行サービスを利用するケースも多いです。代行費用は5,000円〜1万円程度で、印紙代4万円の節約を考えれば十分にメリットがあります。
公証人の認証手続きと費用
株式会社の定款は、本店所在地を管轄する公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。2022年1月から認証手数料が改定され、資本金の額に応じて以下のようになりました。
📋 公証人認証手数料(2022年1月〜)
- • 資本金100万円未満:3万円
- • 資本金100万円以上300万円未満:4万円
- • 資本金300万円以上:5万円
認証当日に必要なものは、定款3通(公証役場保管用・会社保管用・登記申請用)、発起人全員の印鑑証明書(3か月以内)、実印、身分証明書です。代理人が認証手続きを行う場合は、委任状と代理人の印鑑証明書も必要です。
よくあるミスと注意点
1. 事業目的の記載が不適切
事業目的が抽象的すぎる(例:「サービス業」のみ)場合や、違法な事業を含む場合は認証を受けられません。また、銀行口座の開設時に事業目的をチェックされるため、実際の事業内容と整合性を持たせることが重要です。許認可が必要な事業(飲食業、建設業、人材派遣業など)は、所轄官庁が求める文言を正確に記載しましょう。
2. 発行可能株式総数の設定ミス
設立時に発行する株式数の4倍程度を発行可能株式総数に設定するのが一般的です。少なすぎると増資の際に定款変更が必要になり、多すぎると株式の希薄化リスクを株主に懸念される可能性があります。
3. 事業年度の設定が不利
設立日と事業年度末が近い場合、最初の事業年度が極端に短くなり、消費税の免税期間の恩恵を十分に受けられません。例えば3月決算で3月15日に設立すると、最初の事業年度はわずか16日間になります。設立時期と事業年度末は慎重に検討しましょう。
4. 取締役の任期を短く設定してしまう
非公開会社であれば取締役の任期は最大10年まで伸長できます。デフォルトの2年のままにすると、2年ごとに役員変更登記(登録免許税1万円〜)が必要です。一人会社や家族経営では、10年に設定してコストと手間を削減するのが実務上の定石です。
5. 原本証明の誤り
各種届出や銀行口座開設で「定款の写し」を求められる際には、原本証明(「原本と相違ないことを証明する」旨の文言+代表者の記名押印+日付)が必要です。原本証明の方法を誤ると書類が受理されないことがあります。
定款変更の手続き
会社設立後に商号、事業目的、本店所在地などを変更する場合は、株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。変更後は法務局で変更登記を行います。
📋 定款変更に必要な手続きと費用
- • 株主総会の特別決議:議事録を作成し保管
- • 変更登記:登録免許税3万円(目的変更・商号変更等)
- • 本店移転:管轄内移転3万円、管轄外移転6万円
- • 増資:増加した資本金の額×0.7%(最低3万円)
定款変更が頻繁に発生しないよう、設立時に将来の事業拡大を見据えた定款設計を行うことが重要です。特に事業目的は、あらかじめ幅広く設定しておくことで、新規事業開始のたびに定款変更する手間を省けます。
まとめ
会社定款は法人設立の根幹となる重要書類です。この記事のポイントを振り返りましょう。
- • 絶対的記載事項(商号・目的・本店所在地・出資額・発起人情報)は1つでも欠けると定款が無効
- • 中小企業では株式譲渡制限、取締役の任期伸長(最大10年)の設定が実務上重要
- • 電子定款を活用すれば収入印紙4万円が不要になる
- • 事業目的は将来の拡大を見据えて幅広く設定し、許認可業は正確な文言で記載
- • 事業年度は設立時期とセットで検討し、税務メリットを最大化する
定款作成は専門的な知識が必要な部分もありますが、テンプレートを活用し、ポイントを押さえれば自分でも作成可能です。不安な場合は司法書士や行政書士に相談し、将来の事業展開を見据えた最適な定款を設計しましょう。
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