副業兼業規程の作り方を解説。厚労省ガイドラインのポイント、届出制と許可制の違い、副業を制限できるケース、労働時間の通算管理まで網羅した実践ガイドです。
副業・兼業を認める企業が増えていますが、無条件に認めるとトラブルになるケースもあります。 副業兼業規程を整備し、届出制・許可制のルールや禁止事項を明確にしておくことが重要です。
本記事では、副業兼業規程の作り方と、規定すべき項目を解説します。
1. 副業解禁の動向
厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、 モデル就業規則からも副業禁止規定を削除しました。 これを受けて副業を容認する企業が増加しています。
一方で、全面的に副業を認めると、本業への支障や情報漏洩、競業のリスクがあります。 そのため、ルールを明確にした副業兼業規程の整備が必要です。
2. 厚労省ガイドラインのポイント
厚生労働省のガイドライン(2022年改定版)では、以下の方針が示されています。
- 副業・兼業は原則として認める方向で検討すべき
- 労働者の自己申告に基づく労働時間の通算管理
- 健康管理の観点から、副業の状況を把握する仕組みが必要
- 副業を制限する場合は、合理的な理由が必要
3. 規程に盛り込むべき項目
- 目的・適用範囲:副業兼業を認める趣旨と対象者
- 届出・許可の手続き:届出書の提出先・記載事項・提出期限
- 許可基準(許可制の場合):許可・不許可の判断基準
- 禁止事項:競業、情報漏洩、本業への支障など
- 労働時間の管理:副業先での労働時間の自己申告義務
- 健康管理:過重労働防止の観点からの制限
- 届出内容の変更・終了:副業内容の変更時や終了時の届出
- 許可の取消し:問題が生じた場合の許可取消し
- 違反時の対応:無届けの副業や禁止事項違反時の懲戒
4. 届出制 vs 許可制
副業の管理方法は大きく「届出制」と「許可制」に分かれます。
- 届出制:原則として副業を認め、事前に届け出れば従事可能。 会社は届出内容を確認し、問題がある場合のみ制限する。 厚労省ガイドラインの趣旨に沿った方式です。
- 許可制:事前に会社の許可を得なければ副業に従事できない。 競業や機密情報のリスクが高い業種で採用されることが多い。
どちらを採用するかは企業の業種・規模・リスクを踏まえて決定しましょう。 いずれの場合も、副業の内容・勤務先・勤務時間を把握できる仕組みが必要です。
5. 副業を制限できるケース
副業を全面禁止にすることは原則として認められませんが、 以下のような場合には制限が合理的とされます。
- 労務提供上の支障がある場合:長時間の副業により本業に支障が出るとき
- 業務上の秘密が漏洩するおそれがある場合:機密情報にアクセスできる業務
- 競業により自社の利益が害される場合:同業他社での副業
- 自社の名誉や信用を損なう行為:反社会的な副業など
これらの制限事由は規程に明記しておきましょう。
6. 労務管理上の注意点
- 労働時間の通算:労働基準法では、異なる事業場の労働時間は通算されます。 通算して法定労働時間を超える場合、後から契約した事業主が割増賃金を支払う義務があります。 管理モデル(厚労省提示)の活用も検討しましょう。
- 社会保険:複数の事業所で社会保険の加入要件を満たす場合、 「二以上事業所勤務届」の届出が必要です。
- 健康管理:過重労働による健康被害を防ぐため、 副業と合わせた総労働時間の目安を設けることも検討しましょう。
7. AIで規程を作成する
副業兼業規程は届出制・許可制の選択や禁止事項の設定など、検討すべき項目が多くあります。 AIツールを活用すれば、自社の方針に合わせた副業兼業規程のドラフトを効率的に作成できます。
まとめ
副業を認める場合でも、届出・許可の手続きや禁止事項を明確にした規程の整備が不可欠です。 労働時間の通算管理や健康管理への配慮も含めて、実効性のある副業兼業規程を作成しましょう。
