労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きを解説。加入条件、届出先、保険料の計算方法、年度更新の手順をまとめました。
従業員を1人でも雇用する事業主は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が法律で義務付けられています。 労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークと、届出先が異なるため手続きが煩雑になりがちです。
本記事では、労働保険の届出手続きを時系列で整理し、届出先・期限・必要書類をわかりやすく解説します。
1. 労働保険の仕組み
労働保険は労災保険と雇用保険の総称です。
- 労災保険:業務中・通勤中の怪我や病気に対する補償。保険料は全額事業主負担
- 雇用保険:失業時の給付や育児休業給付など。保険料は事業主と従業員で負担
労災保険はパート・アルバイトを含むすべての従業員が対象です。 雇用保険は週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある従業員が対象となります。
2. 労災保険の届出手続き
① 保険関係成立届
- 届出先:所轄の労働基準監督署
- 期限:従業員を雇用した日から10日以内
- 添付書類:登記事項証明書の写し
② 概算保険料申告書
- 届出先:労働基準監督署、都道府県労働局、または金融機関
- 期限:保険関係成立日から50日以内
- 内容:その年度の保険料を概算で計算し、申告・納付
概算保険料は、その年度の見込み賃金総額に保険料率を掛けて計算します。 年度末に確定した賃金総額との差額を精算する仕組みです。
3. 雇用保険の届出手続き
① 適用事業所設置届
- 届出先:所轄のハローワーク
- 期限:事業所設置の日から10日以内
- 添付書類:労働保険の保険関係成立届の控え、登記事項証明書の写し
② 被保険者資格取得届
- 届出先:所轄のハローワーク
- 期限:雇用した月の翌月10日まで
- 必要情報:従業員の氏名・マイナンバー・雇用形態・賃金など
前職で雇用保険に加入していた従業員は、被保険者証の番号を引き継ぎます。 番号が不明な場合は、ハローワークで照会できます。
4. 年度更新の手続き
毎年6月1日〜7月10日に、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付します。 これを「年度更新」と呼びます。
- 前年度に支払った賃金総額をもとに確定保険料を計算
- 概算保険料との差額を精算(不足分は追加納付、超過分は充当)
- 翌年度の概算保険料を申告・納付
年度更新を怠ると、政府が保険料を決定し、追徴金が課される場合があります。
5. 手続きの注意点
- 手続きの順番:まず労基署で保険関係成立届を提出し、その控えを持ってハローワークで雇用保険の手続きを行う
- 一元適用と二元適用:一般の事業は労災保険と雇用保険を一括して手続きする「一元適用」。建設業など一部の事業は別々に手続きする「二元適用」
- 届出の電子申請:e-Govを利用してオンラインで届出を提出できる。窓口に行く時間を削減できる
まとめ
労働保険の届出は、労基署とハローワークの2つの届出先に対して、 それぞれ異なる届出書を期限内に提出する必要があります。 まず労基署で保険関係成立届を提出し、その後ハローワークで雇用保険の手続きを行う、 という順番を覚えておきましょう。 届出ナビAIを活用すれば、必要な届出と提出順序を自動で案内し、手続きの時間を短縮できます。
