
就業規則における福利厚生規定の書き方を解説。法定外福利厚生の種類、記載方法、同一労働同一賃金との関係、制度変更・廃止時の注意点をまとめました。
福利厚生に関する制度を就業規則に定めておくと、従業員への待遇を明確化でき、 採用時のアピール材料にもなります。一方で、一度就業規則に記載した制度は 簡単に廃止できないため、慎重な設計が必要です。
本記事では、就業規則における福利厚生規定の書き方と注意点を解説します。
1. 福利厚生と就業規則の関係
福利厚生には、法定福利厚生(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など)と法定外福利厚生(住宅手当・慶弔見舞金・社員旅行など)の2種類があります。
法定福利厚生は法律上の義務ですので就業規則に記載の有無に関わらず適用されます。 一方、法定外福利厚生は相対的必要記載事項にあたり、 制度を設ける場合は就業規則に記載する義務があります(労働基準法第89条第10号)。
2. 法定外福利厚生の種類
中小企業でよく導入されている法定外福利厚生の例です。
- 慶弔見舞金:結婚祝い金、出産祝い金、弔慰金、傷病見舞金
- 住宅関連:住宅手当、社宅・寮の提供
- 通勤関連:通勤手当(法律上の義務ではない)
- 健康関連:人間ドック補助、インフルエンザ予防接種費用補助
- 休暇制度:リフレッシュ休暇、バースデー休暇、ボランティア休暇
- 自己啓発:資格取得支援、書籍購入補助
- 食事関連:食事補助、社員食堂
3. 就業規則への記載方法
福利厚生制度を就業規則に記載する方法は主に2つあります。
- 就業規則本則に記載:簡単な制度は本則の条文として記載
- 別規程として整備:慶弔見舞金規程、社宅管理規程など別規程として作成し、就業規則本則から「別に定める」と参照
記載にあたっては、以下の項目を明確にしておきましょう。
- 対象者:正社員のみ or パート・アルバイトも含む
- 支給条件:支給の要件(勤続年数、事由など)
- 支給額・内容:具体的な金額や内容
- 手続き:申請方法・申請期限
4. 規定作成のポイント
- 同一労働同一賃金への対応:正社員と非正規社員で福利厚生に差を設ける場合、 不合理な待遇差にならないよう注意が必要です。 パートタイム・有期雇用労働法により、福利厚生施設(食堂・休憩室・更衣室)の利用は 同一の利用機会を与えることが求められます。
- 金額は別表方式にする:具体的な金額は就業規則本文ではなく別表にまとめると、 金額変更時に就業規則全体の変更届が不要になる場合があります(ただし別表も就業規則の一部なので届出は必要)。
- 「会社が別途定める」は避ける:具体的な内容を就業規則や付属規程に記載せず 「会社が別途定める」だけでは、労使間のルールが不明確になります。
5. 制度の変更・廃止時の注意
就業規則に記載した福利厚生制度は、労働条件の一部として扱われます。 制度の縮小や廃止は「不利益変更」に該当するため、合理性の要件を満たすか、 従業員の個別同意が必要です。
導入時は慎重に制度設計し、将来的な廃止の可能性がある場合は 「会社の業績等を勘案して見直すことがある」旨の条項を入れておくことも一つの方法です。
6. AIで就業規則をチェックする
福利厚生規定は同一労働同一賃金との整合性や、不利益変更のリスクなど、 チェックすべき点が多い箇所です。 AIツールを活用すれば、福利厚生関連の条項を効率的に確認できます。
まとめ
法定外福利厚生は従業員のモチベーション向上や採用力強化に有効ですが、 就業規則に記載すると労働条件の一部になります。対象者・支給条件・金額を明確にし、 将来の見直しも想定した設計を心がけましょう。
