
就業規則における退職規定の書き方を解説。自己都合退職の手続き、解雇事由の列挙方法、定年・継続雇用制度の規定、業務引継ぎルールまで網羅した実践ガイドです。
退職に関する規定は、就業規則の絶対的必要記載事項の一つです。 自己都合退職の手続き・退職届の提出期限・解雇事由など、明確に定めておかないと 退職時のトラブルに発展しかねません。
本記事では、就業規則における退職規定の書き方と、押さえるべきポイントを解説します。
1. 退職に関する規定の法的根拠
労働基準法第89条では、「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」を就業規則の絶対的必要記載事項と定めています。つまり、常時10人以上の労働者がいる事業所では、 退職に関する規定を必ず就業規則に記載しなければなりません。
また、民法第627条では、期間の定めのない雇用契約において、 労働者は2週間前に予告すればいつでも退職できると規定されています。 就業規則で「1ヶ月前まで」と定めることは可能ですが、法的には民法の2週間が優先されるケースがあります。
2. 退職の種類と定め方
就業規則に定める退職の種類は、主に以下のとおりです。
- 自己都合退職:従業員からの申出による退職
- 合意退職:会社と従業員の合意による退職
- 定年退職:所定の年齢に達したことによる退職
- 契約期間満了:有期雇用契約の期間満了
- 休職期間満了:休職期間が満了しても復職できない場合の退職
- 死亡退職:従業員の死亡
- 解雇:会社からの一方的な労働契約の解除
3. 自己都合退職の規定ポイント
自己都合退職については、以下の点を明確に定めましょう。
- 退職届の提出期限:「退職日の1ヶ月前までに届け出ること」が一般的
- 届出先・届出方法:「直属の上司を経由して会社に届け出る」など
- 退職届の撤回:会社が承認した後の撤回は原則不可とする旨
- 退職日の確定:会社との協議により退職日を決定する旨
なお、退職届の提出期限を「3ヶ月前」のように極端に長く設定すると、 実効性が疑問視されるだけでなく、トラブルの原因にもなります。 1ヶ月前程度が実務上のバランスとして適切です。
4. 解雇に関する規定
解雇事由は就業規則に具体的に列挙する必要があります。 労働基準法第89条第3号で「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」が 絶対的必要記載事項とされているためです。
一般的に記載される解雇事由の例:
- 勤務成績または業務能率が著しく不良で、改善の見込みがないとき
- 精神または身体の障害により業務に耐えられないと認められるとき
- 事業の縮小その他やむを得ない経営上の理由があるとき
- 懲戒解雇に該当するとき
解雇を行う場合は、30日前の予告(または30日分の解雇予告手当の支払い)が 必要です(労働基準法第20条)。この点も就業規則に明記しておきましょう。
5. 定年退職の規定
定年を定める場合、高年齢者雇用安定法により60歳を下回ることはできません。 また、65歳までの雇用確保措置(定年引上げ・継続雇用制度・定年廃止のいずれか)が義務付けられています。
さらに2021年4月からは70歳までの就業確保措置が努力義務となりました。 就業規則には定年年齢と、継続雇用制度(再雇用制度)の概要を記載するのが一般的です。
6. 業務引継ぎ・退職後の義務
退職に際して、以下の事項も就業規則に定めておくとトラブル防止に役立ちます。
- 業務引継ぎ:退職日までに担当業務の引継ぎを完了する義務
- 貸与品の返還:社員証・PC・携帯電話・制服等の返却
- 秘密保持:退職後も在職中に知り得た機密情報を漏洩しない義務
- 競業避止:必要に応じて競業避止義務を定める(ただし合理的な範囲に限る)
7. AIで就業規則をチェックする
退職規定は解雇事由の網羅性や法改正への対応など、確認すべき項目が多い箇所です。 AIツールを活用すれば、退職・解雇関連条項を法令要件と照合して不備を検出できます。
まとめ
退職に関する規定は、就業規則の絶対的必要記載事項です。自己都合退職の手続き、 解雇事由、定年・継続雇用制度、業務引継ぎのルールを明確に定め、 労使双方が安心できる規定を整備しましょう。
